〈ファクトチェック〉中国国営メディアのインタビューで沖縄の学者が「琉球は日本ではない」と発言【レーティング:不正確】

【レーティング:不正確】チャイナデイリーが11月15日、「琉球は日本ではない」と報じたのは事実である。その後、韓国の中央日報が11月18日、「中国国営メディア『沖縄は日本ではない』」と報じた。しかし、インタビューに応じたのは、琉球独立を掲げる活動家のロバート・カジワラ氏であり、沖縄の学者ではない。同氏はハワイ在住の日系4世で、沖縄にルーツを持つとされる活動家、映画監督、ミュージシャンである。

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①ニュース性

 中国国営メディアのチャイナデイリー(China Daily、中国語: 中国日报)は11月15日、「Interview with a Ryukyuan: Ryukyu is not Japan(琉球人インタビュー:琉球は日本ではない)」と題した記事を報じた。韓国の中央日報が11月18日、日本語版で「中国国営メディア『沖縄は日本ではない』」と報じ、日本においてもX(旧Twitter)などのSNS上で注目が集まった。それぞれの報道内容について検証する。

②事実言明

 中国国営メディアのインタビューで沖縄の学者が「琉球は日本ではない」とする趣旨の発言をした。

③対象

 検証は報道内容のみを対象とする。個人の思想信条は対象としない。

④レーティング(×:不正確)

 チャイナデイリーのインタビューに応じたのは、ロバート・カジワラ(Robert Kajiwara、比嘉·梶原孝昌、中国名:魏孝昌)を名乗る沖縄の活動家。学者ではなく、インタビュー記事においても「琉球(沖縄)出身のミュージシャン、映画監督、平和活動家」となっている。

 しかし、ロバート・カジワラはハワイ在住の日系4世。沖縄のルーツを持つとしているが、同県在住ではない。沖縄を拠点に活動する活動家である(沖縄タイムス:2024年7月5日「すべての人から大事な言葉をもらった」 ハワイ在住の沖縄4世、沖縄の基地などを題材にドキュメンタリー映画 予告編きょう5日公開」)。

 ロバート・カジワラ氏は琉球独立を主張し、チャイナデイリーのインタビューで同様の主旨を語り、琉球王国の歴史や在日米軍基地負担などを指摘。そのうえで、「日本人とは異なる独自の文化、歴史、言語、価値観、信仰、そしてアイデンティティを持っている」と答えている。

⑤検証

 ロバート・カジワラ氏の政治的主張や歴史観は考慮せず、報道内容のみを検証する。

 中国国営メディアのチャイナデイリーが11月15日、「琉球は日本ではない」と報じたのは事実である。インタビューに応じたのは、沖縄の基地問題や琉球独立を主張する活動家のロバート・カジワラ氏であり、学者ではない。沖縄にルーツを持つとされる活動家、映画監督、ミュージシャンである。

 チャイナデイリーはロバート・カジワラ氏を琉球人と扱っており、琉球独立を掲げる同氏の自認も同様である。しかし、ハワイ在住の日系4世であり、母方が沖縄県出身とされる。沖縄にルーツを持つが、出身者ではない。沖縄タイムスの報道では「県系」、自身のプロフィールで「琉球人」を用いている。(BUSINESSINSIDER:2018年12月27日「16万突破!世界で広がる反辺野古基地への連帯——ホワイトハウス請願署名始めたロバート梶原氏を直撃」

 その後、韓国の中央日報が11月18日に報道し、SNSで注目を集めた「『琉球(沖縄の旧称)は日本ではない』とする沖縄の学者のインタビュー」は誤った報道である。

⑥情報源の開示(引用元)

・チャイナデイリー「Interview with a Ryukyuan: Ryukyu is not Japan」(2025年11月15日)

“We have our own culture, history, languages, values, beliefs, and identity that are separate and distinct from the Japanese,” says Robert Kajiwara, native Ryukyuan (Okinawan) musician, filmmaker, and peace activist.

[翻訳]「私達は、日本人とは異なる独自の文化、歴史、言語、価値観、信念、アイデンティティを持っています」と琉球(沖縄)出身のミュージシャン、映画監督、平和活動家のロバート・カジワラ氏は言う。

・中央日報日本語版 中国国営メディア「沖縄は日本ではない」(2025年11月18日)
 ”中国の国営メディアはこの日、日本への圧力の度合いを一段と高めた。チャイナ・デイリーは15日、「琉球(沖縄の旧称)は日本ではない」とする沖縄の学者のインタビューを報じた。”

・沖縄タイムス 「すべての人から大事な言葉をもらった」 ハワイ在住の沖縄4世、沖縄の基地などを題材にドキュメンタリー映画 予告編きょう5日公開2024年7月5日)
 ”沖縄県名護市辺野古の新基地建設の中止を求める活動家で、米ハワイ在住の県系4世のロバート梶原さん(37)が沖縄を題材に制作中のドキュメンタリー映画の予告編が完成した。”

・BUSINESSINSIDER「16万突破!世界で広がる反辺野古基地への連帯——ホワイトハウス請願署名始めたロバート梶原氏を直撃」2018年12月27日)
”梶原氏は母方が沖縄県中城(なかぐすく)村出身の日系4世で、子どもの頃から祖父母から沖縄の文化と歴史を聞き、自分のアイデンティティの一つと考えるようになった。辺野古にも何度も訪れ、ウチナーグチ(沖縄の方言)も話す。”

ロバート・カジワラ氏(Rob Kajiwara 比嘉・梶原孝昌ロバート)のX投稿(2025年11月15日)

「MASGOOM」の検証基準
①ニュース内容
 ニュースとは報道関係者・報道機関・政治家・政府機関・団体が公開した情報。
 個人発信の投稿や噂などは扱わない。UGC(個人ユーザーの解説・評論動画など)も対象外とする。ただし、「個人の意見」と前置きしていても、所属を明示した政治家や報道関係者は公人・準公人とみなし、個人とは扱わない。
②事実言明
 個人の価値観・意見・言説・思想の善悪は対象としない。
 誤った事実や不適切な事実言明を基にした主張は、その論拠および矛盾点を対象とする。ただし、その場合においても主張の是非は対象外。
③対象
 検証可能な事実に関する言及のみ。「あきらかな言い間違い」「撤回された失言」はファクトチェックの対象としない。
④レーティング
:正確な事実
〇:ほぼ事実
△:部分的に不正確
▲:不審・錯誤、相反するニュースが他社で報じられている
×:不正確
×:因果関係なし
×:虚偽
×:偏向・不適切報道
?:対象外・検証不可
⑤検証
 中立の立場から客観的に検証し、感情的な表現は行わない。
 レーティングで「フェイクニュース」と評価されるものであっても、発信者の主張・意図を可能な限り記載する。
⑥情報源の開示
・情報源は公開された情報でなければならない。
・出典やURLなどを必ず記載する

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